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| 2025年、新たな年を迎え、お慶び申し上げます。
年末に閣議決定された一般会計予算は115兆円。1972年度、筆者が社会人に踏み出した年の予算は11兆4千億円。たまたま「いい世に走る」の語呂合わせで当時の予算額を覚えていたが、半世紀後に十倍になった事実は、誰も喜んではいないはずである。予算の三分の一は借金である。 政治不信というよりは政治カオスの状況の中で、巨大な予算を今の為政者に任せてよいものか、国民の多くは不安に思うのではないだろうか。この国の将来、この国の子供や若者は、70年代のあの頃に比べて豊かで幸せな人生が送れるのか確信が持てない。 2025年は、団塊世代が全員75歳に達した年。しかし、この表現を最後に、年々の特徴は、団塊世代ではなく、ロスジェネ世代と生まれ来る世代に焦点を当てるべきだ。評論以上に分析されていないロスジェネ(団塊ジュニアとほぼ同じ)の経済社会指標と毎年の合計特殊出生率が政治や社会の最も重要なターゲットにならねばならない。 具体的に言えば、中高年の大胆な雇用政策と人口を意識した少子化政策が経済社会の発展のためにトップを飾らねばならない。トランプ大統領のアメリカ第一主義は世界の国に対する表明だが、日本は、国内に対し重点課題を呼び掛ける表明が必要だ。政治カオスで溺れかかっている政治家が与野党含め、国民に何も呼び掛けていないとは摩訶不思議な国だ、日本は。 |
| [2024/12/26] | 何も変わらない、で良いのか |
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| 少数与党の臨時国会が閉幕した。国民民主党の主張を慮り103万円の壁を123万円に引き上げ、政策活動費は廃止したが企業・団体献金は将来の課題に引き延ばしたことは、やれやれ従来の自民党らしいやり口だ。これに抗えぬ野党のだらしなさも変わらない。 石破総理は「熟議の国会」と評価するが、むしろトランプ流のディールの国会ではないか。野党にちょっとだけエサを与えて終えることができたのだから、第一戦は自民党の勝ちかもしれない。 しかし、いかにトランプを真似ようと、政治の陣容が天と地の差だ。トランプには、イーロン・マスクとJDヴァンス副大統領がついている。天才と文才を備えた陣容だ。かたや、石破総理の土俵入りを見よ。露払いは玉木国民民主党党首、太刀持ちは前原維新の会共同代表だ。一体、自民党の輩は総理を放っておいて何をしているのか。いつ毒を飲ませ(野党提出の不信任案に賛成)、安楽死を図らせるかを狙っているのではないか。 1993年、宮澤喜一内閣が不信任案を突き付けられたときに自民党から裏切り者が出て成立してしまった。洋一は喜一の甥である。彼の103万の壁に対応する税調会長としてのふてぶてしい態度は伯父に似て、内閣不信任案につながる可能性十分である。歴史は繰り返すぞ。 懐刀を持たない石破総理は裸の王様である。トランプ次期大統領との面談も、安部昭恵、孫正義に先を越された。外務省は謝ることもしない。総理は部下からバカにされているとしか思えない。仏頂面で片言の英語も話さない総理が、好き嫌いの激しいトランプの寵愛を受ける可能性は低い。外務省はジャパンハンドラーたちと総理の振り付けを協議し、時間を稼いでいるのだろうか。 だとすれば、103万の壁、企業・団体献金と同じく、日米外交もまた何も変わらない。総理持論の日米行政協定の改訂やアジア版NATOは論外だ。 石破総理、もし国会の熟議を評価するのならば、露払いの国民民主と太刀持ちの維新をばひきつけ、自民党内の毒を消せ。まさに毒を以て毒を制し、総理としてやりたいことがあるのならば、その手を使うべきだろう。もしこのままズルズルと党内の毒気にさらされ続けるならば、永年総理になりたかったのは、ただ椅子に座りたかった総理だったということになりかねない。 |
| 2024年は選挙の年だった。都知事選、総選挙、兵庫県知事選は従来とは次元の異なる結果をもたらした。さらに、アメリカ大統領選挙もまた異彩を放つ「出来栄え」であり、日本にも選挙とは何か、民意とは何かの大きな影響を与えた。 では、何がそうさせたのか。人々は「長いものに巻かれろ」を辞めた。だから、選挙の様相が変わったのだ。「普通の人」は自民党に投票するはずだった。マスコミや定番のコメンテーターは「長いもの」の考え方を提供したが、人々は乗らなかった。 SNSやユーチューブは、マスコミに勝った。マスコミと定番コメンテーターが作り上げた敵の構図を唯々諾々と飲まなかった。既存のマスコミなどは、都知事選の石丸現象も、総選挙の多党化も、斉藤知事の圧勝も予測できなかった。さらに、アメリカ大統領選でも、民主党系のワシントンポストやニューヨークタイムズを鵜呑みにして事実と異なる「接戦」を報じ続けた。 総選挙の結果は多党化である。自民が負けたことは事実だが、立民が勝ったのではない。立民は、これまで小選挙区で負かされてきた相手が勝手に票を減らしたので議席を50も伸ばしたが、比例票は変わらない。つまり敵失で勝ったものの、立民支援者は一定のグループに限られている。 組織票がベースの公明と共産はそれぞれ110万、80万も票を減らした。組織の高齢化や組織離れに歯止めがかからない。代わって出てきたのが、自民党を代替する国民民主党と共産党を代替するれいわ新選組だ。結果は、国民がどの政党も圧倒的に支持せず、多党化し、政治のカオスを招いたということになる。 このことは、日本の政治状況が欧州に似てきたと言える。90年代ソ連の崩壊とともに欧州では社会民主主義系が台頭したが、日本では、細川連立政権が文字通りの短命で終わり、アングロサクソンを真似た小選挙区政権交代システムは、一度だけ成立した民主党政権の失政によって長続きはしなかった。その日本が、ドイツやイタリアのように、連立でしか内閣を作れない多党化に向かい、ようやく世界の潮流に追いついたとでも言うべきか。 手取りを増やすのフレーズで若者の票を獲得した国民民主党に自民は媚を売ればよい。同時に、石破首相は自民の中で政策実行が不可能ならば、野党に働きかければよい。選択制夫婦別姓も、相続税・金融所得の課税強化も、女系天皇も、野党が一丸となれば実現できる。それは皆、石破首相のやりたいことではなかったか。日米行政協定の改正はハードルが高いが、今できることは多い。 自民党内ですべて首相の意思を消してかかったが、石破首相はわずかに残った地方創生に逃げ込むのはやめるべきだ。この政策は過去も今も全く成功していない。野党に働きかけ、ダイナミックな政策を実現する首相にならなければ、長い間待った甲斐がないではないか。トランプにも既に蹴飛ばされ、外交の場のふるまいを揶揄される首相は昭和垢のついた優柔不断男になっている。森山幹事長に安楽死のクスリを飲まされて早期に退却するシナリオでよいのか。 総選挙は政治のカオスを招いた。しかし、多党化時代ならではできることもある。 |
| 総選挙の結果は大方の予想通りになった。与党過半数割れである。選挙終盤の裏金議員への二千万円支給が決定打となった。自民党の身内びいき、温情主義が仇になった。 特別国会での首班指名まで政党間の駆け引きが続く。維新、国民民主、共産は「野田」とは書くまい。政党の看板に傷がつく。維新、国民は「ゆるふん」の自民とは異なる保守を目指す政党だ。共産は、極左の立場から、右から左までゴタ混ぜの曖昧左党立民を嫌う。 石破がかろうじて首班に指名されたとしても、党内はもたない。裏金=安部派の復讐が待っている。では、今後、日本は誰が保守を担うのか。少なくとも、総選挙は、自民が「健全な保守」ではなかったことを明確にした。安部派=高市を除いたものの、右翼を整理しただけで、その残りも健全とは程遠い存在だった。日本の有権者は、きちんと審判したのだ。 安部元首相が亡くなって初めて、立民は「民主党政権という悪夢」の形容詞を外すことができた。二度と党勢拡大はなかったはずだが、大きな敵失が彼らを救った。しかし、右翼を切った自民を真似できず、左翼を切ることはできなかった。 野田は党内右派を代表して、穏健さを前面に出し、悪夢の看板を下ろしにかかった。その意味では、選挙戦は成功したと言ってもよい。しかし、問題はこれからだ。右から左までの党内はまとまるまいし、そもそも野田氏は、旧民主党を瓦解させた張本人であり、自己主張のみで集団力のない立民の信望を得ていない。 まもなくもっと大きな選挙、アメリカの大統領選がある。ハリス旋風は凪になった。なぜか。人々はさすがに多様性の「行き過ぎ」には辟易だ。トランプの下品さとバランスさせたときに、極左ハリスの価値観が容易に勝てるとは思えない。ここから学べば、立民は左翼の切り捨てをしない限り悪夢の看板を下ろすことはかなわないと断言する。 右翼を切ったがゆえに苦しむ石破首相、左翼を切れないがゆえに展望が開けない野田氏。党内民主主義を主張するあまり、自分の意見を捨て国民の民主主義によって罰された石破。ドジョウが金魚を食べてやるの稚拙な例えでイデオロギーの欠如をにおわせた野田。融通の利かない二人の政治家が今後の日本に影響を与えていくとは、冬の時代の到来ではないか。何よりも、健全な保守は誰が担っていくのか。誰が作り直していくのか。泉下で西部邁先生が地団駄踏んでいることだろう。 新党を創る暇もないとすれば、今あるカードの中で、自民の中では評判の悪い茂木敏充を登場させることだ。 苦難の道の案内は、頭脳明晰、国際性抜群の人材を選ばなければ、日本は滅びる。 |
| 与党内野党の石破茂が、5回目の挑戦で総理の座を勝ち取った。勝つべくして出馬した高市早苗の顔は蒼白であった。この結果の意味は、単純に、安倍政治の終焉であると筆者は観る。 安倍政治の正統な後継者高市は、政治とカネをはじめとする安倍の負の遺産については及び腰だった。日本をもう一度世界のトップに押し上げるという安倍の理想だけを強調した。対して、石破は、アンチ安倍政治であることは明らかだが、明確な方針を語ってはいない。 大平首相以来の「言語不明瞭な」総理の誕生だが、言葉にならない彼の真意を読み取って、いささかの期待をかけるしかあるまい。これまで世の中とかけ離れた自民党内の超右翼集団に対峙し、政治とカネの国民的納得と、夫婦別姓や愛子天皇の実現までやれれば、自民党は、より国民に近づき、保守政党として息を吹き返すかもしれない。 沖縄を棚に上げて、グアムの米軍基地で自衛隊の訓練をやるなどの案は、筆者が思うに、彼の言動が決して欧米社会に好まれない様相であるだけに、外交防衛の分野では、思わぬ障壁に遭うのではないかと危惧する。菅首相と同じく、サミットの輪からはじき出されないようにと願う。 少なくとも、今度の総裁選である程度の刷新感は出た。石破を選んだ自民党のしたたかさだろう。他方の立民は、総理になる可能性が出てきたからと、創設者枝野を差し置いて党首になった野田元首相は、悪夢と言われた民主党時代と変わらず、「金魚の比喩、分厚い中間層」のスローガンを維持している。 言語の下手な石破は早稲田雄弁会の野田に討論では負けるのではないか。しかし、政治経験、思慮深さでは野田を凌駕する。石破に望まれるのは、いま野党が主張しているようなことは大したことはないから皆やってしまえ、ということだ。ただし、財政規律と消費税引き上げ論者の野田の議論に乗るならば、総理の任期は短期になるであろう。 安倍政治は高市の敗退とともに終わった。この機を石破がどれだけ活かせるか、期待と不安が入り混じる。 |
| やめてけれ、やめてけれ、やめてけーれ、ジコジコ(自民党総裁選候補) 国民は政治とカネの真の決着を求めているが、それを言っちゃあ、党内で選ばれることはないから、憲法だ、経済だとテーマを取り繕った総裁選なら、少なくも国民の前に報道する必要なし。 やめてけれ、やめてけれ、やめてけーれ、ゲバゲバ(下馬評では、昔総理が出馬) 国民総スカンを食った昔の名前の男が再び総理を夢見て立民の党首選に出てくる。尖閣に中国を迎え入れたことを謝罪してからにしてほしい。 神様、神様、助けてパパヤー。 これは1970年に流行った左卜全の歌のリメイクである。 |
| バイデン大統領がハリス副大統領に「譲位」を決定したのは、日本の政治に影響を与えないだろうか。高齢者には調子のよいときと悪いときが交互にくるので、たまたま調子の悪いときにトランプとの討論対決があったのは、バイデン大統領の不運だった。トランプ前大統領がすんでのところで銃弾的中を免れた運の強さと対照をなす出来事だった。 このことは、ウクライナやイスラエルは言うに及ばず、世界を驚愕させ、米大統領選に何十倍もの興味が注がれることになった。日本はと言えば、さて、岸田政権の「譲位」はなるか。ならないまでも、影響は免れまい。譲位があってもなくても、アメリカの政治劇のすごみに比べ、自民党総裁選はソープオペラの類であり、直後に予想される総選挙でどこまで自民党が減員するかの問題だ。 ならば、譲位しなくてもいいよ、総理殿。またぞろ世襲の垢がついた顔ぶれに期待は抱けない。だけれども、投資政策と少子化政策と防衛費引き上げばかりが言及され、政策の忘れ物が多くはないか。その一つが食料安保だ。ウクライナ侵攻きっかけに、また円安が響いて、食料が物価値上げの中心になってきた。 ウクライナからの小麦輸入ができなくなったアフリカや、食料補給路がブロックされたガザ地区では、たいへんな食糧難に陥っている。カロリーベースの食料自給率38%の日本は他人事と考えてはならない。海外からの食料輸入が絶たれたら、第二次世界大戦直後の飢餓状態が再現することになる。 気候変動で海水の温度が変わり、漁獲に大きな変動が起き、漁師が離職する騒ぎにもなっている。野菜や果物を生産する農家、畜産農家では、夏の暑さで収穫減や生産減が免れない。日本が温帯から亜熱帯に変わりつつあるのを看過すれば、国産の食べ物はますますじり貧になる。今、物価が多少上がっても食べられるから平気だと思っていたら、危機が訪れた場合に対応できまい。 インドは既にコメや小麦の輸出禁止に踏み切っているし、中国では食料備蓄を行っていると聞く。日本の一次産業の状態や海外からの輸入の不確定要素を鑑みた時、一体政治は食糧安保という政策の忘れ物をどうするのか総理に聞いてみたいものだ。 日本はどこを向いて仕事をしているのか。先進農業や大規模農業を目指しつつ、減反政策をはじめ中小農家の「いじめ」政策もやる。防衛費増強の中に食糧安保は位置付けられていない。 たくさんの忘れ物のなかでも、食糧安保は喫緊の課題と思われるが、下手な政局劇よりも、忘れ物に取り組んでほしい。 |
| 浅草の浅草寺は外国人でいっぱいだ。初詣などは、日本人よりも多く、参拝に並ぶ行列からは、さまざまのアジアの言語が聞こえてくる。外国人は「安い、安い」と喜び、円安で伝統ある東京滞在を楽しむ。 他方で、虎ノ門ヒルズや麻布台ヒルズが新たに登場し、高さを競うタワマンもニョキニョキ立って、コンクリートの城が東京の勢い止まずの印象をもたらしている。集まる人々が、あるいは巨大な城が、誇るのは、終戦後から復興を続けた東京という努力の街だ。 しかし、待てよ。日本が劣化しているのと同様、東京にも劣化が既に始まっている。南海トラフ大地震が襲ったら、北朝鮮のミサイルが降ってきたら、どこに逃げるのだ。神宮の森や皇居やいくつかの候補地はある。だが、都が防災・防衛の具体策を人々に伝えているだろうか。否、である。 マンションの価格が平均1億円を超えた首都で、買えるのは、日本人ではない。武田薬品の外国人社長の年収は15億だそうだが、先端のITやバイオからとり残された従来型の中小の社長は、一連の賃上げ圧力にすら応えることはできない。 幼少時から巻き込まれた受験戦争の果て、一流大学を出ても、夢見るは外資系企業。官僚は消極的選択、政治家は選挙での一発目当てばかりで、永田町と霞が関は無能の集団、活気から取り残されている。 東京をどうするのかを問うのが都知事選ではないのか。経済的にも、物理的にも、安心、安全の街をどう築くのかが争点ではないのか。若者の夢を育む政策が最も求められているのが東京ではないのか。 少子化政策にマイナーであり医学的にも問題がある無痛分娩の補助を唄う小池さん。相変わらず何を言っているのか不明で、ただ眉間にしわを寄せて「何でも反対、私は挑戦する」の蓮舫さん。実践的には聊かましだが、どこまで追い上げられるかの石丸さん。都民の思いとずれてはいないか。 都知事選が終われば、岸田おろしが始まり、意外性のない「やっぱりそうか」の総理が出てきて、海図なき日本の運営が続けられることだろう。失われた東京、失われた日本の始まりが2024年である。 |
| 過日、白山義久京大名誉教授のお話を聞く機会を得た。題は「国家管轄権外区域の海洋生物多様性(BBNJ)の保全及び持続可能な利用に関する新協定」についてである。 耳慣れない題であるが、簡単に言うと、公海の資源保全の協定ということだろう。国連が音頭を取り、23年6月に正式に採択され、60か国が批准してから発効される。日本はまだ、署名も批准も検討中である。シンガポールや環境政策重視のドイツが先導役を務める。 これまで海洋法については、領土の沿岸に当たる領海や排他的経済水域が定められ、生物多様性条約において、沿岸国による管理が規定されている。しかし、公海については何も定めがなかった。 日本は、途上国が公海での生物多様性は人類共通の財産であると主張するのに対し、共通財産は海底鉱物資源に限るとしている。また、公海でのモニタリングには膨大な費用が掛かることを懸念する。しかし、海洋国家日本がいずれ署名・批准することは容易に予想される。海洋遺伝資源から医薬品の開発などの便益が得られることも分かっているのである。条約締結国のコスト負担や便益の配分などの検討が急がれる。 何よりも公海という未知のフロンティアが存在していたことに驚く。宇宙開発については既に1967年に宇宙条約ができていて、昨今では、アメリカのみならず競争して宇宙のフロンティアに向かう国々が増えた。一方で人口爆発を憂慮し、他方で人類が使える未開発の資源や新たに住める惑星などがあるとしたら、フロンティアに向かわない手はない。 これまでも、各国が協力し、あるいは競って南極調査を行ってきたが、公海に眠る便益を各国合意の下に、日本が積極的に求めていくことは望ましい。資源がなく人口減少の国日本は、国益として取り組むべきである。日本は、従来、科学が導くフロンティアに関し、政治が消極的だった。洋上風力発電も、CCS(二酸化炭素分離貯蔵技術)も、宇宙太陽光発電も、国際リニアコライダーも、学術者からのアイディアに政治が積極的に乗り出すことはなかった。 下り坂の日本と言われているのを甘受せず、国益のために、公海にでも、新しいフロンティアにでも、出て行って勝負する日本でありたい。検討倒れと遅延はやめてほしい。 |
| 衆議院補欠選挙が迫っている。総選挙の前哨戦と呼ばれるが、否、結果は既に明らかである。自民党は負ける。 そこで、岸田首相の破れかぶれ解散につながるとの見方が強い。岸田首相は、国政よりも自民党よりも、自らの保身を優先する。総裁選前に総選挙ができなければ総裁を続けること自体が難しいのだ。 自民党が少しでも有利に戦おうとするなら、党首を替えるしかない。どこかにダークホースはいないのか。安部派つぶしにとどまらず、伝統のリベラルを捨てた宏池会、またぞろ世襲にこだわる二階派、トランプに尻尾を振りに行ったオッチョコチョイの麻生派を「ぶっ壊してやる」と勢いよく出てくるダークホースもいないとしたら、自民党の人材払底も甚だしい。 そのダークホースにならんとした小池百合子は東京15区からの出馬をあきらめ国政復帰を見送った。それもそのはず、再燃した学歴詐称が今回ばかりは握り潰すことができない。偽の卒業証明というエジプトからの恩を買った小池は、他国エジプトのエージェントであり、国政に出ることは憚られる。政治家として都知事に留まることも許されない。 それにしても、自民の逆風を自らの順風に置き換えられない野党のだらしなさも目立つ。もし政権交代を勝ち取りたいなら、野党もまた党首を替えるべきである。立民は、無学無策のアイドル党首に、極左的女性議員が取り巻き、バックには民主党崩壊の罪人たる顧問が大勢いる。 最近、米山隆一議員の舌をまく質疑の雄弁さが報道されている。岸田首相は照準のぼけた答弁をひたすら読み、松本総務大臣はしどろもどろの答弁。なんだ、立民にもまともな議員がいるではないか。石橋湛山の小日本主義を唱える篠原孝など、腐りかけた幹部の背後にまともな議員も少しはいる。世の中の賛同を狙うなら、野党も党首を替えよ。替えねば、誰も政権交代を望まない。自民・維新連立の方がまだましだ。 米国大統領選挙もおじいさん同士の戦いで気の毒だが、このままいくと、日本は腐ったもの同士の戦いになり、もっと気の毒な状況になるだけだ。
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